不良おやじ

風俗に行ってみようと思ったきっかけは、一人で寝る時の寂しさからだった。仕事の帰りにスーパーに寄って、時間に追われながら夕飯を作って、子たちがそれぞれ食事をすれば1日の仕事は終わりだ。

チャリに乗って近所の体育館に行って軽くトレーニングをする。ひとりになれる時間、帰りにスーパーに寄って明日のパンを買う。

 

3LDKの部屋はそれぞれ子供部屋になった。リビングも韓国ドラマにハマってる娘がテレビの前に釘付けになっている。

 

居場所がない

 

ダイニングテーブルの椅子をベットがわりに横になる。2時頃になると娘も部屋に入り、入れ替わりにリビングに布団を敷く。なんでだろうか、この瞬間がなんとも言えない気持ちになる。布団にくるまって眠りにつく。昔から布団に入った瞬間に寝ている。子供達も呆れるほどの早さ、それは今も変わらない。

 

朝立ちなんてしない、年のせいかな

それとも刺激がないからか

このまま元気も無くなっていくのかな、そう思うと虚しくなった

 

そんな時に思い立ったのが風俗だ

 

そして、まりちゃんに出会った

 

元気だった、心配無用だった

 

スッキリするよりも笑顔に癒された

居心地のいい空間

マリちゃんの声、空気にどっぷりハマった

 

今は、テーブルの下に布団を敷いて寝ている。明るくなくていい。

 

いつか、この家に1人になる日が来るだろう。

自分のためだけにご飯の用意をし、部屋は空いているのに、きっとリビングに布団を敷いて寝る。

 

まりちゃんに出会って、恋焦がれたことを懐かしむのだろうか

 

年を取ると物事を点でなく俯瞰してみる癖がついてくる

 

いつか訪れる日のことを予想しながら今を生きる。

 

だから、もう少しだけおやじの狂い咲きを許してほしい。きっとすぐに以前の生活に戻るから。

酒もタバコもやらない模範的なおやじの生活に